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教えて!獣医さん

鈴がリンリン♪かわいいリボンやお花タイプ、蝶ネクタイでかっこよく!首輪をしている猫ちゃんは、一目で『飼いネコだ!』と分かりますよね。猫ちゃんの首輪はおしゃれでかわいいだけでなく、万が一の脱走や災害に備えて装着することが大切です。このコラムでは、猫ちゃんの首輪の必要性や選び方、嫌がるときの対処法などを獣医さん質問させて頂いた事をご紹介しています。『愛猫にぴったりの首輪が見つからない…』という飼い主さんは、ぜひチェックしてみてくださいね!

  猫に首輪は必要?

 結論から申し上げますと、猫の首輪は、嫌がらずハゲないようであれば、つけてあげた方がいいでしょう。 というのも、万が一脱走してしまった際に、『飼い猫だ!』と一目で分かるからです。 猫はすばしっこい動物ですので、いくら気をつけていてもスッと玄関や窓から逃げ出すことがあるかもしれません。また、地震や火事といった災害の際には、思わぬ行動をとる可能性もあります。 大切な猫ちゃんがすぐに家に戻ってこられるよう、可能な限り首輪をつけてあげることをおすすめします。 

  猫の首輪「メリットとデメリット」

 猫の首輪はかわいいだけでなく、たくさんのメリットがあります。 ただ、いくつかのデメリットもあります。 以下では、猫の首輪のメリットとデメリットについて分けて解説します。

メリット

首輪のメリットは、なんといっても、飼い猫であることが一目でわかることです。 首都圏であっても、まだまだ野良猫は多く存在しています。 万が一、室内飼いの愛猫が外に逃げた場合、首輪をしていないと、野良猫と認識されて捕獲されないことが想定されます。 暑い夏や過酷な寒い時期にも、そのまま外で暮らすようになってしまうかもしれませんね。 もし親切な人が捕まえてくれたとしても、首輪がついていないと、飼われてしまう可能性もあります。 現在、ブリーダーやペットショップで販売される犬や猫においては、マイクロチップの装着が義務となっています。 そのため、購入した猫ちゃんであれば、飼い主さんの情報が入ったマイクロチップが挿入されています。(※購入後に飼い主さんが情報の登録をする必要があります。)ただ、『マイクロチップが装着されているかどうか?』は、猫ちゃんの見た目では分かりません。マイクロチップが入っているのに、野良猫と思われて捕獲されなかったら、全く意味がありませんよね… このような事態を避けるために、首輪はつけておくべきです。また、できるだけ首輪の裏やネームタグには飼い主さんの電話番号などの情報を記載しておくようにしましょう。 ペットショップから来た子猫、保護猫として迎えた子…猫ちゃんにはそれぞれのバックグラウンドがあります。 愛情をこめて選んだ首輪なら、飼い主さんとの絆はより一層深まるでしょう。 メリットがたくさんの首輪ですが、いくつかのデメリットもあります。

デメリット

擦れや汚れによる脱毛や皮膚炎を起こす可能性があることです。猫ちゃんの被毛はフワフワですが、硬くてきつい首輪を装着することで、脱毛を生じることがあります。 また、脱毛に気がつかず使用し続けることで、皮膚に炎症が生じることもあります。 猫の皮膚は人の1/3程度と薄いので、気がついたときには真っ赤になり、かさぶたができている…なんてことも。 いつも掻いている、気にして舐めているなどは、皮膚トラブルが生じているサインです。 また、首輪が物に引っかかり首が絞めつけられる可能性や、気にしていじることで口に挟まって取れなくなってしまうこともあります。 

  首輪のデメリットに対する対策 

このような首輪のデメリットに対しては、以下でご紹介する対策を行うと良いでしょう。 まずは、定期的に首輪や被毛、皮膚の状態をチェックすることです。 

  1. 首輪に汚れや破損はないか?
  2. 脱毛していないか?
  3. 皮膚に赤みやケガなどはないか? 

1カ月に1回程度はしっかりとみてあげましょう。 また、飼い主さんの情報が消えてしまっては意味がないですので、文字がしっかり読めるかどうかもチェックしましょう。 そして、何かに引っかかったときに、バックルが外れる(セーフティバックル)タイプの首輪を選ぶことも大切です。 猫はパニックになりやすい動物ですので、首輪が物に引っかかった場合に、慌ててしまい身動きが取れなくなることもあります。 場合によっては首吊り状態となり命に関わることも。安全面を考慮して、ある程度の力が加わると外れるタイプの首輪を選択することも大切です。 

  防災対策としての猫の首輪 

猫の首輪は防災対策としても重要な役割があります。 上述したマイクロチップは、情報の確認を行うために、専用の読み取り機が必要となります。 読み取り機は動物病院や保健所、動物愛護センターなどにありますが、災害の際には、すぐにこれらの場所に行けない可能性もあります。 また、各種機関は多くの対応に迫られ、すぐに読み取り作業をしてくれるとも限りません。そのため、迷子猫ちゃんがいた場合でも、対応が非常に遅くなることも考えられます。マイクロチップを入れることはとても重要ですが、飼い主さんの情報が書いてある首輪やネームタグなど身元が分かるものをつけていれば、より迅速に身元の確認が行えます。 災害時に愛猫が迷子になる可能性は十分に想定されますので、防災対策として首輪の装着をしておくと少し安心できますよね。 

  どんな首輪がおすすめ?

以上のことを考慮して、なるべく軽量で付け心地がよいもの、力が加わると外れるタイプの首輪を選んであげるといいでしょう。 ただ、実際につけてみないと分からないことは多いため、いくつか購入して試してみるといいですね。 また、鈴付きの首輪はどこにいるかすぐに分かりますが、嫌がる子もいるため、気にしている素振りがみられたら取ってあげましょう。 最近では、GPS機能付きの首輪やヘルスモニターが搭載されたタイプの首輪もあります。 ある程度の重さはありますが、さまざまな情報が得られるため、嫌がらない場合には装着を考えてみてもいいですね。 ちなみに、ワンちゃん用の首輪にもかわいいものがたくさんありますが、猫ちゃん用に比べると硬めで重さがあり、ベルトのように穴で長さを調整するタイプのものが多いため、体が華奢な猫ちゃんにとっては負担となる可能性もあります。 選ぶ首輪は猫ちゃん用のものにしましょう。 

  猫の首輪はいつからつけるの?

人慣れが十分でない保護猫ちゃんや環境の変化に敏感な猫ちゃんだと、装着がストレスになる可能性もあります。お家に慣れた頃に首輪をつけてあげる事をおすすめします。子猫は動きが活発な為、必ず飼い主さんが見ていられる状況下でお願いします。 また、子猫に合ったサイズでないと負担があったり危険なので、サイズ選びは慎重に行ってくださいね。1歳齢くらいまでは、体の成長スピードがとても速いので、首輪の大きさもこまめにチェックしてあげましょう。人の人差し指と中指が入る程度のゆとりがあり、顔の方に持ち上げてもとれないサイズのものを選びましょう。どんな年齢の子でも、はじめて首輪を装着する日は首輪が物や口に引っかかってしまうなどの事故が起こる可能性もあるため、飼い主さんが見ていられる日にしましょう。  

  首輪を嫌がる猫への対応 

首輪を嫌がる猫ちゃんも、数日装着すると慣れてくることがほとんどです。ご機嫌な日や眠そうなタイミングを見計らって、つけてみるといいでしょう。 1日中つけようとせず、短時間から始めることで慣れてくれる子もいますよ。 ただ、つけはじめの頃は、手や口でなんとか取ろうとする行為が見られることも多いです。 口に挟まってしまうなどのトラブルもあるため、飼い主さんが見ていられない時間帯は外しておいた方がいいでしょう。また、素材や重さが合わない場合もあるため、いろいろな質感のものを試す、なるべく軽量なものを選んでみることもおすすめです。リボンなどの装飾がついていない、シンプルなものを選んであげてもいいですね。 ただ、どうしても嫌がる場合には、無理に首輪を装着する必要はありません。 マイクロチップの挿入をし、脱走に対する安全対策をより強化して対応しましょう。 

  猫の首輪とハゲ

猫は首輪を装着することで、首輪下の被毛がハゲてしまうことがしばしばあります。 ハゲを放置すると、そのまま毛が生えなくなってしまったり、皮膚にトラブルが生じたりすることがあります。 そのため、首輪でハゲができてしまったら、以下の対策を実践してみることをおすすめいたします。 ハゲてしまったら、どうすればよい? ハゲてしまった場合には、まずは首輪を外すことが大切です。 猫の被毛のサイクルは2~3か月程度ですので、軽度の脱毛であれば、数か月後に元通りになっていることがほとんどです。 毛根がダメになることもあり、その場合には毛が生えそろわないこともありますが、見た目の問題だけですので経過を見てあげてもいいでしょう。 ただし、ハゲがある場合には、皮膚にトラブルが生じていることもあります。 赤みやかさぶたなどがある場合や猫ちゃんが気にして掻く場合などは、飼い主さん自身で処置をするのではなく動物病院を受診していただくことをおすすめします。


 ※このコラムは獣医師に首輪についての見解を質問させて頂き文面を確認の元、記事を掲載しています。